インターバル走と心拍数:自分のゾーンで無理なく走るには
走り始めてまだ2〜3分なのに、息が上がり、心臓が大きく打ち、「軽く走るつもりだったのに、もうきつい」と感じることがあります。
だからといって、すぐに「持久力がない」と決めつける必要はありません。多くの場合、今の体力に対してペースが少し速すぎるだけです。心拍数が一気に上がり、呼吸が苦しくなり、いつの間にか軽いジョギングが小さなレースのようになってしまいます。
そこで役立つのが心拍ゾーンです。心拍数を見ると、どれくらい速く走っているかだけでなく、体がどれくらい頑張っているかもわかります。さらに、ランとウォークを交互に行うインターバル走なら、その負荷を自分で調整しやすくなります。
難しく考えない心拍ゾーン
心拍数とは、1分間に心臓が何回拍動するかを示す数字です。運動強度が上がるほど、心臓にも大きな仕事が求められます。
運動強度を考えるときは、心拍数を自分の最大心拍数と比べる方法がよく使われます。「220−年齢」という有名な式がありますが、これはあくまで大まかな目安です。同じ年齢でも実際の最大心拍数にはかなり個人差があります。
その範囲を、軽い運動からほぼ限界の運動までいくつかのゾーンに分けます。Harvard Healthでは、中程度の運動強度を最大心拍数のおよそ70〜80%、高強度を80%以上として紹介しています。
初心者のゆっくりしたランでは、ずっと高いゾーンに入る必要はありません。中程度の強度なら、より長く動き続けやすく、呼吸も整えやすく、毎回のランが根性試しになりにくくなります。
最初は楽だったのに、なぜ心拍数が上がるのか
初心者によくあるのが、「走り始めは楽だったから、このペースで大丈夫」と思ってしまうことです。
同じ速さで走っていても、時間がたつにつれて心拍数が少しずつ上がり、呼吸が速くなり、脚が重くなることがあります。軽いランのつもりが、気づけばかなりきつい運動になっているのです。
だからこそ、ペースだけでは運動強度のすべてはわかりません。
時計がなくても使える簡単な方法があります。走りながら話してみてください。文章を無理なく話せるなら、運動強度はおそらく中程度。息継ぎの間に数語しか話せないなら、かなり強い負荷になっています。
Harvard Healthは、特定の心拍ゾーンを狙うよりも、自分の感覚に注目するほうがシンプルで、同じくらい効果的な方法だと述べています。
ランとウォークを交互にすると負荷を調整しやすい
ここで便利なのが、ランとウォークを交互に行う方法です。
短いランの区間を設定し、そのあとウォークに切り替えます。歩いている間に呼吸が落ち着き、心拍数も下がり始めるため、完全に疲れ切る前に次のランを始められます。
長い区間を一本走って負荷がどんどん上がる代わりに、回復を挟みながら無理のない区間を積み重ねるイメージです。
初心者にとっては、これだけでトレーニングの印象が大きく変わります。「あと何分耐えられるか」を毎回試す必要がなくなり、負荷が上がりすぎる前に調整できます。
ポイントは、ウォークを非常停止のように使わないこと。呼吸が完全に乱れる前に歩き始めると、回復区間がきちんとトレーニングの一部として働きます。
心拍数を基準に走るなら
選んだ心拍数の範囲を基準にトレーニングを組むこともできます。
たとえば、楽なペースで走り、心拍数が目標ゾーンの上限に近づいたらウォークへ。心拍数が下がったら、次のラン区間を始めます。
ただし、心拍数はすぐに反応するわけではありません。暑さ、睡眠不足、ストレス、水分不足、疲労など、さまざまな要因で変わります。だから、ひとつの数字を絶対の命令にしないことが大切です。
心拍数は便利な指標ですが、数字・呼吸・自分の感覚の3つを一緒に見ると、より使いやすくなります。
心臓への負荷について研究が示していること
歩きを挟めば、心臓への負担が自動的に軽くなる――そう考えたくなりますが、実際はもう少し複雑です。
Journal of Science and Medicine in Sportに掲載された研究では、市民ランナーがマラソンを連続して走る方法と、計画的に歩きを挟む方法で比較されました。完走タイムはほぼ同じで、ランとウォークを組み合わせたグループは筋肉痛や疲労が少なかったと報告しています。
一方で、心臓への負荷を示す指標には大きな差がありませんでした。心拍数を見ながら走るとき、この点は重要です。歩きを挟むことでペースを落とし、呼吸を整え、運動を続けやすくすることはできますが、心肺への負荷まで自動的に「軽く」なるわけではありません。
心拍数は答えではなく、フィードバックとして使うのがおすすめです。呼吸や体感と合わせて見ながら、自分に合うインターバルへ調整していきましょう。
自分に合うインターバルの作り方
誰にでも合う「ラン何分、ウォーク何分」という正解はありません。むしろ、自分の今の状態に合わせて変えられることがインターバル走の強みです。
最初は次のポイントだけ押さえれば十分です。
- 思っているより軽めに始める。 連続して走るとすぐ息が苦しくなるなら、ラン区間を短くします。
- 疲れ切る前に歩く。 話せなくなってからではなく、その前に切り替えます。
- 呼吸と心拍数を一緒に見る。 数字ひとつだけでは状況はわかりません。
- ラン区間は少しずつ延ばす。 いつもの内容が明らかに楽になってきたら、走る時間をほんの少し増やします。
- 回復も予定に入れる。 きつい日の翌日に軽くすることは、進歩を止めることではありません。
続けていると、同じ負荷でも少しずつ楽に感じられることがあります。同じペースで呼吸が整いやすくなり、回復が早くなり、心拍数の動きも安定してくる。こうした変化のほうが、一回のランで出た「きれいな数字」より大切です。
Ekiroならインターバルと心拍数をまとめて確認できる
走りながら頭の中で分数を数えるのは面倒です。時間、呼吸、道、心拍数を全部同時に気にするのはさらに大変です。
Ekiroでは、「2分走って1分歩く」といった自分のラン・ウォークの組み合わせをあらかじめ作ることも、用意されたトレーニングを選ぶこともできます。各区間の時間はEkiroが管理し、切り替えのタイミングを知らせます。
Apple Watchで走る場合は、トレーニング中の心拍数もEkiroで確認できます。自分の範囲を設定しておけば、心拍数がその範囲を外れたときに知らせてくれます。
数字は確認できる。でも走っている間ずっと画面を見続けなくていい。そのバランスが大切です。
まとめ
心拍ゾーンは、絶対に外れてはいけない枠でも、「良い・悪い」を決める採点表でもありません。運動強度を理解するためのひとつの道具です。
軽く走るつもりなのに毎回きつくなってしまうなら、無理に遅いジョギングを続けるより、ランとウォークのインターバルに分けてみるのも方法です。短いウォークで呼吸を整えれば、次のラン区間をもっと落ち着いて始められます。
完璧な数字を追いかける必要はありません。何をしたか、どう感じたか、次回も無理なく続けられそうか。それがわかるトレーニングのほうが、長く役に立ちます。
この記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言に代わるものではありません。心臓や血管の病気、高血圧、その他の健康上の制限がある場合は、運動負荷について医師に相談してください。